東京ディズニーシーにあるアトラクション「タワー・オブ・テラー」。
東京ディズニーリゾートで唯一のフリーフォールタイプの絶叫系アトラクションということで、オープン当初から根強い人気を集めています。
東京ディズニーリゾート最恐アトラクションとも名高いタワー・オブ・テラーですが、怖いと言われている理由はそれだけではありません。
アトラクションに付随するストーリーや舞台となるホテル・ハイタワーの廃墟ぶりがとても凝っていてすごくリアルなのです。
そんな細部まで作り込まれたタワー・オブ・テラーの魅力をより一層知ってもらうため、本記事では当ブログで今までご紹介してきた豆知識をまとめてご紹介していきます。
知ればきっとアトラクションの世界観にどっぷりと入り込めるはず。
アトラクションの待ち時間などにぜひご活用くださいませ!
タワー・オブ・テラーは2006年9月に東京ディズニーシーにグランドオープンしたフリーフォールタイプの絶叫系アトラクションです。
所要時間:約2分(プレショー含まず)
定員:22名/1台
ライドショット:あり
建物の高さ:59m
最高到達地点:38m
ライドの乗車時間はおよそ2分と短めですが、プレショーやQライン(待ち列)のクオリティが高く世界観へ没入できるため、高い満足感を得られるアトラクションです。
現在タワー・オブ・テラーがあるのこの場所には、かつて大富豪のハリソン・ハイタワー三世がオーナーを務めていたホテル「ホテル・ハイタワー」がありました。
彼は世界中を旅しては価値のある骨董品や美術品を次々を強奪し、ホテル内のあちらこちらに飾っていました。
あるときハイタワー三世はコレクションの一部にするためアフリカのコンゴ川流域に住む部族ムトゥンドゥ族からシリキ・ウトゥンドゥという奇妙な偶像を強奪します。
時は流れ1889年12月31日。
ハイタワー三世はシリキ・ウトゥンドゥをお披露目すべく、ホテルで記者会見を開きます。
記者からシリキ・ウトゥンドゥは呪いの偶像と言われているのでは?と問われるも、彼は「呪いなど馬鹿馬鹿しい!」と一蹴しました。
そしてその晩、彼が乗っていたエレベーターで不可解な事故が起きました。
事故後エレベーターに残されていたのは無傷のシリキ・ウトゥンドゥとハイタワー三世の帽子だけ。
彼は不可思議な失踪を遂げたのです。
ホテル・ハイタワーは閉鎖され、市民からはやがて「タワー・オブ・テラー(恐怖のホテル)」と呼ばれるようになりました。
そして次第に市民たちにも忘れられ、閉鎖から13年が経った1912年。
ニューヨーク市保存協会はホテルの改修工事を実施し、数々のコレクションを巡る見学ツアーを開催することにしました。
ゲストたちはこのツアーに参加し様々なコレクションを見て回り、最後に業務用のエレベーターでハイタワー三世の部屋に向かいます。
そこで起こる予想外の出来事とは…?
ご紹介した通り、恐怖のストーリーが隠されているタワー・オブ・テラー。
フリーフォールというだけでも怖さ満点ですが、タワー・オブ・テラーではさらにストーリーや演出の怖さも加わってきます。
特に乗車前に見るプレショーは迫力満点で、私は正直ライドよりこちらの方が苦手です(笑)
本記事を読んでくださっている方は乗車したことがあるという方がほとんどだとは思いますが、「今度初めて乗車する予定がある」「苦手だから克服方法を知りたい」という方は私がタワー・オブ・テラーを克服できた方法を詳しくご紹介している記事があるのでこちらをご覧ください。
苦手意識を克服してより一層アトラクションを楽しみましょう!
それでは、ここからタワー・オブ・テラーにまつわる豆知識をまとめてご紹介していきます。
タワー・オブ・テラーでは様々な場所でホテル・ハイタワーとして存命だった頃の面影を見ることができます。
アトラクションのQラインをよく見てみると意外な発見があるかもしれませんよ。
まずはアトラクションに登場する偶像シリキ・ウトゥンドゥについてご紹介していきます。
シリキ・ウトゥンドゥは呪いの偶像と呼ばれています。
アーモンド型の目と尖った耳が特徴的で、呪いの力を発揮するときは目が緑色に光ります。
ハイタワー三世はアフリカのコンゴ川流域に住む部族ムトゥンドゥ族からシリキを強奪しました。
シリキは正しく崇拝すれば幸運をもたらしてくれますが、粗末に扱ったり馬鹿にしたりする者には恐ろしい呪いがかけられるという曰く付きの偶像です。
シリキを馬鹿にし、タバコの火をシリキに押し付けるなどという愚行をしでかしたハイタワー三世。
彼がエレベーター事故で失踪してしまうのは、シリキを粗末に扱ったことで呪いにかけられてしまったからなのです。
ここからは、アトラクションの各所で見られる数々の興味深いプロップスについてご紹介していきます。
まずはアトラクションに乗車する前に通るロビーにあるプロップスから。
ロビーに入ってすぐ右側にはこちらの暖炉があります。
暖炉の前にはソファーが置いてあり、ホテルだった頃はちょっとしたくつろぎスペースとして使われていたことが分かります。
こちらの暖炉はハイタワー三世がカンボジアから持ち帰ってきたものです。
暖炉の上にあるハイタワーの肖像画はカンボジアの遺跡の前でのハイタワー三世を描いたもの。
部下たちに遺跡の発掘と運搬作業を任せ、ばっちりキメ顔をするハイタワー三世…。
彼の傲慢な人柄がよく表れていますね。
ロビーではぜひ壁に描かれている絵画にも注目していただきたいです。
壁に描かれている絵は全部で11枚。
そのうちの10枚はハイタワー三世が敢行した探検の様子、1枚には彼が収集したコレクションが港に運ばれてきた様子が描かれています。
ヨーロッパ各地やエジプト、インドなど様々な場所を探検してきたハイタワー三世。
中には誰もが知る世界の名所や東京ディズニーシーに実在するエリア、さらには日本の姿もあります。
待ち時間はぜひ壁画にも注目してみてくださいね。
続いてもロビーで見られるものです。
ロビー奥にあるこちらはオリンピックレストランというレストランの入口です。
こちらでは世界中を旅して来たハイタワー三世らしく、世界各国の料理を提供していました。
しかしながら、そのメニュー内容はゾッとするようなゲテモノばかり。
とても口にはしたくない異色メニューのオンパレードです。
ホテルが賑わっていた頃はこちらのレストランも繁盛していたのでしょうか…。
タワー・オブ・テラーに隣接するお土産ショップ「タワー・オブ・テラー・メモラビリア」。
アトラクション乗車後に通る場所でもありますね。
実はこちら、ホテルが存命だった頃はプールとして使われていた場所なのです。
その後ニューヨーク市保存協会がタワー・オブ・テラーのツアーを開催するにあたり、ツアー参加者がお土産を買えるようにとプールを改装してお土産ショップを開きました。
プールはハイタワー三世の希望でインド風の内装になっています。
店内ではインドを感じられるプロップスが数多く隠されていますので、ぜひそんなところにも目を向けて楽しんでみてくださいね。
ホテル・ハイタワーにはレストランやプール以外にもたくさんの施設がありました。
アトラクションのQライン途中にあるホテルのフロアガイドからは当時の様子を垣間見ることができます。
お土産ショップや美容室、宴会場などどれもホテルには欠かせない施設ばかり。
アトラクションでは見ることができない場所だからこそ、あれこれ想像を膨らませてみるのも楽しいです。
ホテル・ハイタワーには3つの庭園がありました。
3つのうち瞑想の庭園とインドの庭園はアトラクションのQラインで実際に入ることができます。
まずご紹介するのは瞑想の庭園です。
瞑想の庭園はハイタワー三世が世界各国から強奪してきた9体の女神像が飾られています。
飾られているのはかの有名なスフィンクス像やクレオパトラ像など名だたるものばかり。
そんな有名で価値のある像も力づくで奪ってきたハイタワー三世。
瞑想の庭園はそんな彼の傲慢さと恐ろしさを感じられる場所でもあります。
こちらの庭園はホテル・ハイタワーが閉鎖されてから一切手入れがされていないため、転倒していたり欠けてしまっている像もあります。
東京ディズニーシーの中でこんなにも手入れされていない庭園を見られるのは恐らくここだけ。
ある意味レアな庭園と言えるでしょう。
インドの庭園は瞑想の庭園に隣接する庭園で、ハイタワー三世がインド探検から持ち帰ってきたものが飾ってあります。
こちらにあるものももちろん、力づくで強奪してきました。
シヴァ像や美しい孔雀の噴水などを見ることができます。
またインドの庭園では、かつて珍しい植物が育てられていたことが分かるネームプレートが複数残されています。
記されているのは「火の花」や「アマゾンの絞首」など興味深いものばかり。
ホテルとして存命だった頃の手入れされた庭園を思い浮かべながらお散歩してみるのも楽しいですよ。
3つめの庭園は太陽の庭園です。
太陽の庭園は唯一私たちゲストが入れない場所にあります。
太陽の庭園があるのは建物向かって左側にあるインディアンタワーの屋上。
太陽の庭園は3つの中で唯一の屋上庭園です。
残念ながら私たちゲストは立ち入ることができませんが、ホテル・ハイタワーとして賑わっていた頃はここからニューヨークの街並みを見下ろしながらコーヒーブレイクを楽しんでいたのかもしれません。
気に入ったものは力づくで強奪してきたハイタワー三世。
タワー・オブ・テラーにはそんな彼の傲慢な性格を垣間見れるポイントがたくさん隠されています。
ここからはそんな彼の人となりが分かるエピソードをご紹介していきます。
まずご紹介するのはホテル・ハイタワーの建築にまつわるお話です。
建物のデザインにはハイタワー三世が探検してきた様々な国の建築様式が取り入れられました。
ホテルは大きく4つのエリアに分けることができます。
それぞれモチーフにした建築様式が異なるため、他にはない独特な造りになったのです。
ホテル・ハイタワーのあちらこちらで見ることができるこちらの紋章。
紋章にもハイタワー三世らしさが詰まっています。
紋章は貝殻の上に乗った地球に剣が刺さっているという何とも不謹慎なデザイン。
そして下に書かれている「MUNDUS MEA OTSREA EST」はラテン語で世界は私の牡蠣であるという意味です。
これはシェイクスピアの喜劇『ウィンザーの陽気な女房たち』第二幕第二場を模したフレーズであり、「世界は私の手の中にある。剣で牡蠣を開けるように、どんなものでも手に入れてみせよう」という意味が込められています。
欲しいものは何でも手に入れてきたハイタワー三世らしい言葉ですね。
ニューヨークの中心地にあるタワー・オブ・テラー、そしてハイタワー三世は、他の施設や団体との関わりがあることを窺えるポイントが複数存在します。
ここからはそんな彼を取り巻く人物や事柄、意外なつながりを感じるプロップスなどをご紹介していきます。
ハイタワー三世と深い関わりがあった人物のうちの一人がコーネリアス・エンディコット三世です。
彼はS.S.コロンビア号などを有するU.S.スチームシップカンパニーのオーナーです。
彼はハイタワー三世と同じ寄宿学校に通っていました。
当時からエンディコットが気に食わなかったハイタワー三世は、彼に執拗ないじめをしていました。
いじめが原因んでハイタワー三世は退学になるも、大人になっても彼への牽制は続きました。
不正や力づくで富を得たハイタワー三世に対し、エンディコット三世は努力でのし上がってきた実力派。
ニューヨークで名声を得た二人でしたが、生き様は全く正反対だったようですね。
エンディコット三世がオーナーを努めるU.S.スチームシップカンパニー。
世界を舞台に海運業を営む会社です。
U.S.スチームカンパニーが所有する船と言えば、アメリカンウォーターフロントに停泊中のS.S.コロンビア号。
ですが実は他にもS.S.フーサトニック号、S.S.モノンガヒラ号というふたつの豪華客船を所有しています。
U.S.スチームシップカンパニーはエンディコット三世の祖父であるエンディコット一世が立ち上げた会社です。
元々移民だったエンディコット一家がニューヨークでここまでの大成功を収めた──
まさにアメリカンドリームです。
ニューヨークグローブ通信はニューヨークで一番人気の新聞社です。
オーナーは先にも登場したエンディコット三世。
エンディコット三世はハイタワー三世に対抗すべく、新聞に彼の不正にまつわる暴露記事を書きました。
ニューヨークグローブ通信のオフィスはタワー・オブ・テラーからも程近いブロードウェイ・ミュージックシアターの左隣。
看板にはニューヨークグローブ通信が発行している様々な新聞名が掲げられています。
新聞名はフランス語やドイツ語など様々な言語で記されており、ニューヨークグローブ通信がその名の通りグローバルな新聞社であることが窺い知れます。
また、タワー・オブ・テラーの近くにある掲示板にはニューヨークグローブ通信の記事が複数掲示してあります。
ぜひ待ち時間にチェックしてみてくださいね。
世界中を旅してきたハイタワー三世ですが、実は意外なところにも訪れていたのです。
ロビーの絵画を見てみると、見覚えのある場所に訪れた際の様子が描かれています。
そう、ロストリバーデルタにあるレイジングスピリッツです。
レイジングスピリッツはかつて火の神と水の神のふたつの神像が祀られていた曰くつきの遺跡なのですが、ハイタワー三世も遺跡発掘に訪れていたようです。
レイジングスピリッツの近くではハイタワー宛ての荷物を見ることができますよ。
テーマポートをも超越したつながりが隠されているとは、ディズニーのこだわりの深さを感じますね。
続いては同じアメリカンウォーターフロント内にある別のエリア:ケープコッドとのつながりについてです。
タワー・オブ・テラーがあるニューヨークエリアは華やかで賑やかな街並みが印象的ですが、一方でケープコッドはのどかな田舎の港町を舞台にしたエリアです。
ケープコッドの特産品はタラ。
タラは町の工場で缶詰に加工され、各地に輸出されていました。
そんなタラと思われるものが、タワー・オブ・テラーでも見ることができるのです。
それがこちら。
アトラクション乗車後に通る通路の一角にひっそりと置かれているこちらの木箱は、ケープコッドの缶詰工場グランドバンクス・カナリーから届いたものです。
ケープコッドのタラはハイタワー三世もお気に入りだったのかもしれませんね。
最後は少し変わった視点から見た豆知識です。
東京ディズニーシーで人気を二分する絶叫系アトラクションといえばタワー・オブ・テラーとセンター・オブ・ジ・アース。
実はこのふたつのアトラクションには、ゲストが恐怖体験をすることになるが、キャスト(クルー)はそのことを知らないという共通点があります。
あんなにも恐ろしい体験が待っているというのに笑顔で「いってらっしゃーい!」と送り出し、「おかえりなさーい!」と迎える…よく考えたら少し変ですよね。
しかし、そこには「ゲストが偶然恐怖体験に巻き込まれてしまう」というストーリーを忠実に再現するディズニーのこだわりが隠されているのです。
一見矛盾を感じるような演出ですが、裏話を知るとさらにアトラクションの世界観にどっぷり浸かれそうな気がしますね。
タワー・オブ・テラーにまつわる豆知識のご紹介でした。
アトラクションひとつにここまで深いストーリーが隠されているとは驚きです。
「事実を元にして作られたアトラクション?」と疑う人がいるのも当然のような気がしますね。
そんな細部まで細かく作り上げられたタワー・オブ・テラー。
乗車する際はぜひバックストーリーやQラインのプロップスにも目を向けてみてください。
それでは、よい旅を!