東京ディズニーシーの人気絶叫系アトラクション「タワー・オブ・テラー」。
フリーフォールというだけでなく、ストーリーや演出もクオリティが高く恐怖を煽る内容であることため、東京ディズニーリゾート最恐アトラクションとも言われています。
そんな細部までこだわり抜かれたタワー・オブ・テラーの中から、今回はロビーにある11枚の絵画に焦点を当てて考察していきたいと思います。
知ればタワテラの待ち時間がもっと楽しくなるはず。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
タワー・オブ・テラーは2006年9月に東京ディズニーシーにグランドオープンしたフリーフォールタイプの絶叫系アトラクションです。
ライドの乗車時間はおよそ2分と短めですが、プレショーやQライン(待ち列)の見応えがあるため世界観へ没入でき、高い満足感を得られるアトラクションです。
お話の舞台はかつてハリソン・ハイタワー三世がオーナーを務めていたホテル・ハイタワー。
彼は世界中を旅しては価値のある美術品や芸術品を強奪し、ホテルのあちらこちらに飾っていました。
その後彼は不可解なエレベーター事故で謎の失踪を遂げますが、Qラインでは現在もホテル時代に収集したコレクションの数々を見ることができます。
そんな興味深いプロップスの中で特に見ていただきたいもののひとつが、アトラクション乗車前に通るロビーに飾られた11枚の絵画です。
高い位置にあるためじっくり見たことがある方は少ないかもしれませんが、これらはアトラクションのキーパーソンであるハリソン・ハイタワー三世の冒険模様を描いたものです。
こちらでは1875年から1888年の13年間に行われた探検旅行の様子を見ることができます。
ハイタワー三世はどんな場所を訪れ、何を強奪してきたのでしょうか。
はじめにご紹介するのはアジア探検の様子です。
絵に描かれているのは日本です。
ハイタワー三世は日本にも訪れていたのですね。
日本からは鎧と刀を強奪しました。
絵には人力車で逃げるハイタワー三世の姿が描かれています。
城の前には座り込んでいる門番とそれを叱る人物の姿が。
地面に瓶のようなものが転がっていることから想像するに、ハイタワー三世か執事のアーチボルト・スメルディングがお酒を盛ったのかもしれません。
さらにハイタワー三世はカンボジアにも立ち寄り、女神像や遺跡を強奪しました。
アジア探検の絵のすぐ下にあるこちらの暖炉はカンボジアの寺院を壊して持ってきたものです。
ちなみに、ハイタワー三世の失踪は日`本の新聞でも報道されました。
アトラクション入り口近くにある掲示板に日本語の新聞がスクラップされています。
こちらもぜひお見逃しなく。
続いてこちらはルーマニアを訪れた際の様子です。
月夜の中、ハイタワー三世とスメルディングがそりに乗って雪道を疾走する様子が描かれています。
そりには巨大なガーゴイル像が乗っています。
背景に描かれているお城から強奪したのでしょう。
後ろにはそりを追いかける無数のオオカミが描かれています。
こちらは東アフリカ探検の様子。
原住民らから大量の仮面や衣類を強奪しました。
ハイタワー三世は強奪したお気に入りの仮面を持って決めポーズ。
スメルディングはその後ろで吊り橋を追いかけてくる原住民たちをナイフで威嚇しています。
ナイフを見て慄く原住民達の姿が描かれています。
続いてこちらはモアイ像で有名なイースター島。
大きなモアイ像を船に乗せ出航するハイタワー三世とスメルディング。
その奥では原住民たちが手を振っています。
よく見ると対岸の右側にいる大きな男性は蓄音機のようなものを掲げており、物々交換によって友好的に取引したことがうかがえます。
力づくで強奪するだけでなく、平和に取引することもあったのですね。
続いては古代ローマの遺跡などを巡ったローマ・地中海探検。
ハイタワー三世は大きな荷台に騎馬像を乗せ、像と同じポーズを決めています。
そして左側には賄賂を渡すスメルディングとそれを受け取り深々と礼をしている現地の人が描かれています。
ここでもイースター島同様、お金によって平和な取引が行われたことが分かります。
一方で右側には像がなくなっている様子を見て驚いている人の姿も。
肉眼では中々見えにくいですが、ユーモア溢れる一枚です。
ちなみに、こちらの風景はアトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」の近くで実際に見ることができます。
ご覧の通り、アクアダクト・ブリッジの壁がそっくりですね。
続いても同じく地中海に面した都市、ギリシアです。
ギリシアでは大きなポセイドン像を入手しました。
高波が船に襲いかかり、空には稲妻が走っています。
大嵐という逃げるには適さない夜でも、ハイタワー三世は舵を執事に任せて余裕の表情です。
続いてはこちら。
見覚えがある方も多いのではないでしょうか。
こちらは中央アメリカのジャングルにあるレイジングスピリッツの遺跡を訪れた際の様子です。
船に乗っているのは蛇の頭のような形をした石像。
こちらも無理矢理強奪したようで、後ろから原住民達が槍を投げて追いかけてきています。
レイジングスピリッツは気性の荒い二柱の神「火の神」と「水の神」が怒って怪奇現象が起きたというバックグラウンドストーリーがあるのですが、ハイタワー三世が訪れた1883年にはまだ怪奇現象が起こっていません。
間違えて火の神や水の神を強奪していたら、とんでもないことになっていたかもしれませんね…。
続いてはインド探検の様子です。
象に乗って余裕の表情を見せるハイタワー三世とスメルディング。
後ろに引いているのはタマス像です。
タマス像はプレショー観覧後に通る「秘密の倉庫」で実際に見ることができます。
秘密の倉庫奥側に天井からぶら下がっている大きな石像がありますよね。
それがこのとき強奪したタマス像なのです。
しかもタマス像の口の中を見ていると、ときどき見覚えのある緑色の光がふたつ見えることがあります。
そう、その正体はハイタワー三世が呪われるキッカケとなった偶像シリキ・ウトゥンドゥ。
こんなところに隠れんぼしているなんて、シリキ・ウトゥンドゥは意外とお茶目なのでしょうか?
また、インド探検の様子はアトラクションQラインで通る「インドの庭園」や乗車後に通る「タワー・オブ・テラー・メモラビリア」でも見ることができます。
乗車する際はこちらもぜひチェックしてみてください。
こちらはエジプト探検の様子です。
左側に描かれている3つのピラミッドはかの有名な三大ピラミッドではないでしょうか。
強奪したミイラや棺を抱え、気球で逃げるハイタワー三世たち。
武器を振り翳し追いかけてくる原住民には目もくれません。
エジプト探検で奪ったミイラたちもタマス像と同様、秘密の倉庫で見ることができます。
1階エリアの中央付近に無造作に立てかけられていますので、ぜひ実際に見てみてください。
1875年のアジア探検から13年後、彼は再びアジアへ出向きました。
絵に描かれているのはペルシアを訪れた際の様子です。
ラクダに乗って大きな石像を運んでいる様子が描かれていますが、こちらは翼の生えたスフィンクスです。
こちらの石像はアトラクションQラインで通る「瞑想の庭園」で実際に見ることができます。
石像の台座にはハイタワー三世が「思いにふけるために何度も立ち止まったお気に入りの場所だ」と記したプレートがあります。
瞑想の庭園にある数々の女神像の中でも、とりわけ彼のお気に入りだったのかもしれません。
ここまでご紹介してきた10枚の絵はどれもハイタワー三世が冒険してきた世界各地の様子を表したものですが、最後にご紹介する絵は少し立場が異なります。
ロビー中央のエレベーター上にあるこちらが11枚目の絵。
ここには10枚の絵の場所で収集してきたコレクションがニューヨークの港へ運ばれてきている様子が描かれています。
実際には1875年から1888年の13年間の間に少しずつ集められたもののため、絵のように一堂に会することはあり得ません。
こちらの絵はハイタワー三世らしい誇大表現によって描かれているのです。
探検の順番に沿って番号を振ってみました。
一見全ての探検の収集品が描かれているように思えたのですが、隅々まで探しても④イースター島だけ描かれていませんでした。
一体なぜなのでしょうか。
イースター島について少し調べてみたところ、モアイ像は部族間抗争などによって薙ぎ倒され、1840年頃には全ての像が倒されていたというのです。
その後像の復元に着工したのは20世紀に入ってから。
つまり、ハイタワー三世がイースター島を訪れた1881年には像は全て倒されていたはずなのです。
ということは、ハイタワー三世は実際にはイースター島に行っておらず、聞いた話を元に探検したことにしてしまったという説もあり得そうですね。
11枚目の絵が誇大表現であるように、ハイタワー三世は普段から誇張した言動を取る癖がありました。
そのことを踏まえると、10枚の絵には他にも小さな「嘘」が描かれている可能性があるかもしれませんね。
ちなみに、ここでご紹介した冒険の様子はアトラクション付近にある掲示板でも見ることができます。
日本での様子も「Ninja」の文字と共にしっかり記されています。
こちらもぜひチェックしてみてくださいね。
東京ディズニーシーのタワー・オブ・テラーのロビーに飾られた絵画のご紹介でした。
どれも細部まで詳細に描かれており、ユーモラスな要素も含まれたとても興味深い内容でしたね。
長い待ち時間を記録することもあるタワー・オブ・テラー。
そんな待ち時間のお供に、ロビーの絵画を観察してみては?
それでは、行ってらっしゃい!