東京ディズニーシーの人気絶叫系アトラクション:タワー・オブ・テラー。
アトラクションのみならず演出やストーリーも怖いことから、東京ディズニーリゾート最恐アトラクションとも言われています。
タワー・オブ・テラーはバックグラウンドストーリーがかなり細かく作り込まれており、アトラクション内に散りばめられたプロップスを紐解いていくと意外な発見があって楽しみが尽きません。
ですが、実は目を向けるべきはアトラクション内だけではありません。
タワー・オブ・テラーがあるテーマポート:アメリカンウォーターフロントには、アトラクションとのつながりを感じられる仕掛けが施されている場所があるのです。
今回はそんなアメリカンウォーターフロントから、タワー・オブ・テラーとも関わりがある新聞社「ニューヨークグローブ通信」についてご紹介していきます。
ニューヨークグローブ通信は、ニューヨークで一番人気の新聞社です。
経営者はアメリカンウォーターフロントのランボマーク的存在であるS.S.コロンビア号を所持している会社U.S.スチームシップカンパニーの社長でもあるコーネリアス・エンディコット三世。
海運業で大成功を収めたにも関わらず、新聞社まで手がけさらに業績を伸ばしている敏腕経営者です。
エンディコット三世はタワー・オブ・テラーとも深い関わりがある人物です。
現在タワー・オブ・テラーがある場所はかつてホテル・ハイタワーというホテルでした。
ホテルのオーナーは皆さんご存知ハリソン・ハイタワー三世。
傲慢で強欲なハイタワー三世は、寄宿学生時代エンディコット三世を卑下し嫌がらせをしていました。
その件が表沙汰になりハイタワー三世は退学処分となりましたが、その後もハイタワー三世からの報復は止みませんでした。
大人になってからもエンディコット三世の事業を邪魔するハイタワー三世。
一方でエンディコット三世は新聞でハイタワー三世の不正を暴くなど対抗するようになり、1899年12月31日にハイタワー三世が失踪するまで二人は犬猿の仲でした。
タワー・オブ・テラーの建物の前にある掲示板には、ホテル・ハイタワーやハイタワー三世にまつわる新聞記事が多数掲示されています。
いずれもホテル・ハイタワーにまつわる中々興味深い内容が書かれているのですが…
ご覧の通り、掲示されている新聞はニューヨークグローブ通信(THE NEW YORK GLOBE Telegraph)のものばかり。
ニューヨークで一番人気の新聞社というだけありますね。
タワー・オブ・テラーとも繋がりがあるニューヨークグローブ通信。
ここからは、ニューヨークグローブ通信にまつわる豆知識を紐解いていきましょう。
アメリカンウォーターフロントの舞台は1912年のアメリカです。
ニューヨークで一番人気の新聞社へとのぼり詰め大成功を収めているニューヨークグローブ通信ですが、はじめは小さな小屋から始まりました。
原点とも言えるその小屋は、現在も見ることができます。
アメリカンウォーターフロントのニューヨークエリア、エレクトリックレールウェイの高架下にある小道デランシーストリート。
ホットドッグを販売しているワゴンショップ「デランシー・ケータリング」のすぐ裏手にある木製のこちらの小屋がその正体です。
大きく書かれたNEWSPAPER(新聞)とWe’ve moved(引越しました)の文字。
始めはこの小さな小屋で新聞を売っていましたが、事業が成功して大きな事務所に移転したようですね。
小屋の横を見てみると、何やら張り紙があります。
NEWSBOYS WANTED!
Plucky Young Go-getters
Needed Immediately To Distribute
The Globe Telegraph Area.
Apply In Person
To The Assistant Circulations Manager,
Endicott Publishing, Broadway.
THE NEW YORK GLOBE Telegraph
新聞配達の少年を募集中!
このエリア担当の新聞配達員、若くて元気のある方を募集しています。
ブロードウェイにあるエンディコット出版の発行部担当マネージャーまで。
ニューヨークグローブ通信
問い合わせ先がありそうなブロードウェイに行ってみましょう。
ブロードウェイはデランシーストリートと交わる大通りです。
ショー公演を行うブロードウェイ・ミュージックシアターやレストラン「ニューヨーク・デリ」がある華やかなストリートです。
豪華でおしゃれな建物が立ち並ぶブロードウェイの一画にありました。
ブロードウェイ・ミュージックシアターのすぐ左隣にあるこちらの建物が、現在のニューヨークグローブ通信の本社です。
おなじみの会社のロゴも大きく掲げられていますね。
建物の右下にある礎石の文章を読んでみましょう。
THIS CORNERSTONE DEDICATED
NOVEMBER 4, 1883
BY CORNELIUS ENDICOTT, II
PUBLISHER OF THE
NEW YORK GLOBE Telegraph
TO THE LOYAL READERS
OF NEW YORK’S
MOST POPULAR NEWSPAPER
この礎石は1883年11月4日、ニューヨークグローブ通信のオーナーである
コーネリアス・エンディコット二世より
ニューヨークで最も人気のある新聞紙の忠実な読者に捧げられた
コーネリアス・エンディコット二世は先に登場したエンディコット三世の父親です。
ニューヨークグローブ通信は彼の父親が設立した会社だったのですね。
エンディコット三世は父親の基盤を受け継ぎ、事業を拡大させているようです。
会社のロゴの両サイドにも何やら書かれているので、読んでみましょう。
ALSO PUBLISHER OF:
こちらも出版しています
THE NEW YORK
SHIPPING GAZETTEER
ニューヨーク海運業ガイドブック(英語)
LE JOURNAL
GLOBAL DE TELEGRAPHE
DE NEW YORK
ニューヨークグローブ通信(フランス語)
DIE NEW YORK
WELT FERNSCHREIBER
ZEHUNG
ニューヨークグローブ通信(ドイツ語)
IL GIORNALE
GLOBALE DEL TELEGRAFO
DE NEW YORK
ニューヨークグローブ通信(イタリア語)
O JORNAL
DO TELEGRAFO DO GLOBO
DE NEW YORK
ニューヨークグローブ通信(ポルトガル語)
EL PERIODICO
GLOBAL DEL TELEGRAFO
DE NUEVA YORK
ニューヨークグローブ通信(スペイン語)
左上のニューヨーク海運業ガイドブックというのは、海や船舶にまつわる出版物を取り扱っているのでしょう。
U.S.スチームシップカンパニーとのつながりを感じられる一コマです。
そして何より驚きなのが、英語だけでなく他多数の言語でも新聞が発行されていたことです。
20世紀初頭のニューヨークは世界各国の人々が暮らす街。
ニューヨークのニーズに合わせて拡大していった結果なのでしょうね。
様々な言語でも発行されていたニューヨークグローブ通信。
その一部をタワー・オブ・テラー前の掲示板で見ることができます。
ハイタワー三世の失踪を知らせる新聞記事が並んだこちらにご注目。
フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語の新聞が並んでいます。
新聞名は社屋に書かれていたものと同じです。
そして、ここには日本語の新聞もあります。
新聞名は「東京グ…」となっているので、おそらく「東京グローブ通信」という新聞なのではないでしょうか。
左側の大きな新聞は「ロンドングローブ通信」という名前ですし、社屋に書かれていた新聞以外もかなり手広く展開しているようですね。
エンディコット…おそるべし!
ニューヨークグローブ通信にまつわるお話と豆知識のご紹介でした。
強奪や不正といった手段で力を手にしたハイタワー三世と、公正に努力を重ねて事業を展開していったエンディコット三世。
犬猿の仲というだけあってか、真反対な二人でしたね。
タワー・オブ・テラーにはまだまだ紹介し切れないほどたくさんのストーリーが隠されています。
アトラクションに乗車する際は、ぜひ掲示板やその他のプロップスにも目を向けてみてくださいね。
それでは、よい旅を!