東京ディズニーリゾートのアトラクションは乗り物の楽しさだけでなく、付随するバックグラウンドストーリーや細やかな演出でもゲストを楽しませてくれます。
ですが、バックストーリーが用意されているのはアトラクションだけではありません。
レストランやショップなどのすべての建物に歴史があり、そのストーリーに沿って装飾が施されているのです。
今回は中でも東京ディズニーシーのアメリカンウォーターフロントにある大型ショップ「マクダックス・デパートメントストア」の誕生秘話と豆知識をご紹介していきます。
ダッフィーグッズを多く取り扱っているお店ですので、訪れたことのある方も多いのではないでしょうか?
とても大きなお店ですが、実は小さな質屋から始まったお店だったのです。
質屋が大きなデパートに成長するまで、一体どのような物語が隠されているのでしょうか?
そんなアメリカンドリームの秘密に迫ります!
マクダックス・デパートメントストアがあるのは20世紀初頭のアメリカを舞台にしたテーマポート「アメリカンウォーターフロント」です。
メディテレーニアンハーバーからアメリカンウォーターフロントに向かう際、最初に目に入る建物です。
いわばアメリカンウォーターフロントの玄関口とも言えますね。
店内ではダッフィーグッズを中心に、お菓子から身につけグッズ、ぬいぐるみ、アパレルなど多ジャンルの商品が販売されています。
ダッフィーグッズをお探しの方は、ここを訪れればきっとお目当の品に出会えるはずです。
それでは早速、マクダックス・デパートメントストアのバックグラウンドストーリーをご紹介していきます。
マクダックス・デパートメントストアを経営しているのはスクルージ・マクダック。
通称「マクダックおじさん」と呼ばれる彼は、ドナルドの伯父にあたります。
そう、ここはドナルドのおじさんのお店なのです。
こちらのお店は、ファンの間で「おじさんち」という愛称で親しまれているんですよ。
スクルージは何よりもお金を愛する世界一リッチなアヒルです。
かなりの倹約家で、常にお金儲けのことばかり考えています。
そんなお金にがめつい彼だからこそ、大成功できたのかもしれませんね。
連日大勢の人でにぎわうマクダックス・デパートメントですが、最初から大きな百貨店を開いたわけではありませんでした。
スコットランドで生まれたスクルージは1897年のゴールドラッシュで財産を増やすことに成功し、ニューヨークに移住してきました。
ニューヨークでスクルージが最初に開いたのは質屋でした。
資産が大好きな彼は、ものの価値を見抜く力も抜群だったのでしょう。
質屋は成功し、資産をどんどん増やしていきました。
質屋で増やした資産を元に次に開いたのは、洋品を扱う問屋でした。
質屋でお金を得たお客さんたちが隣の問屋で買い物するようになり、問屋も大成功。
スクルージはさらに資産を増やすことに成功しました。
彼は質屋と問屋で儲けた資産、そして不動産投資で増やした資産を使い、質屋と問屋を結合する形で豪華な建物を建てました。
そして1910年にオープンした百貨店がマクダックス・デパートメントだったのです。
さすが凄腕経営者のスクルージ。
百貨店ももちろん、大成功!
連日大勢のゲストで賑わっている姿を見るに、スクルージはまだまだ資産を増やし続けていきそうですね。
ちなみに、アメリカンウォーターフロントではマクダックス・デパートメントストアの広告を見ることができます。
大々的に広告を打てるのも、スクルージが大成功している証しですね。
広告は数種類ありますので、ぜひ探してみてください。
質屋から問屋、そして百貨店へと手を広げていったスクルージ。
千里の道も一歩からということですね。
デパートとして成功した今も、質屋と問屋の内装は当時のまま残されています。
それぞれの店内を見てみると当時の様子がよく分かりますので、ひとつずつ見ていきましょう。
最初にオープンした質屋は、マクダックス・デパートメントの中央に位置しています。
白い壁と天井にダークブラウンの梁がアクセントのクラシカルで上品な内装です。
ここでは住人たちが質入れした数々の質草を見ることができます。
質草からは20世紀初頭の文化を垣間見ることができて見応えがありますよ。
カメラや蓄音機といった高級機材や
骨董品や楽器、衣装などがあります。
さらに、天井から吊り下がっている照明器具にも札がついています。
スクルージは質入れした品もしっかり活用しているようですね。
また、店内にはこのような黒板があります。
「Item Available」は在庫ありという意味です。
こちらに書いてある品物は、質流れ品として販売されているようです。
コーヒーミルや戸棚、長焦点レンズなど様々なものが書いてあります。
同様の黒板はもうひとつあります。
シャンデリアや時計など、こちらにもたくさんの品々が書かれていますが…。
タイトルが「Item Availabe」になってしまっています。
大切なところで誤字ってしまうお茶目なスクルージおじさんです。
さらに、こちらの黒板には質入れ歓迎品が書いてあるようです。
書いてある内容を見ると金塊、金箔、金の延棒、砂金etc…
金オンリーです。
何よりもお金が大好きなスクルージは、金を使って資金を増やすのも得意だったのでしょう。
ちなみに、こちらの黒板には映画『ファンタジア』に登場する魔法使いの弟子ミッキーの帽子を模したレアな隠れミッキーがあります。
ぜひ探してみてくださいね。
続いてオープンした問屋は、メディテレーニアンハーバーから見て最も奥側にあります。
ブラウンを基調にしたシンプルな内装をしており、先ほどの問屋とは違った雰囲気のお店です。
こちらの問屋では洋品を多く扱っており、店内では衣装や裁縫にまつわるアイテムを数多く見ることができます。
2階部分には布地や糸、トルソーなど衣装作りに欠かせないものがたくさん並べられています。
店内には裁縫で使う道具の数々や
額に入れられた高級シルクのミシン糸もあります。
他にも当時のファッションの流行を知ることができるスケッチや、繊細なレースの数々が飾られています。
店内には大きく「MILLINERY(婦人帽子)」と書かれていることからも、この時代は女性用の華やかな帽子が流行っていたようですね。
そして質屋と問屋で大成功したスクルージが最後に開いたのが百貨店。
メディテレーニアンハーバーから見て一番手前側にあるお店です。
高い天井、豪華な柱やおしゃれなシャンデリアなど先の2軒とはまるで違う雰囲気の空間が広がっています。
お店の中央には金貨や金袋に囲まれたスクルージの像があります。
誇らしげな表情から自己顕示欲の強さがにじみ出ていますね。
店内では他にもあちらこちらに金が使われています。
柱や天井の装飾、額縁などどこもかしこも金だらけです。
中でも特に目を引くのは柱に施された大量の金貨。
質屋と問屋の大成功がとても嬉しかったのでしょうね。
金貨は他にも、お店の前の噴水でも見ることができます。
中にはスクルージの顔が刻まれた金貨もありますので、お店に訪れた際はぜひ探してみてくださいね。
最後におまけの小話をひとつご紹介します。
東京ディズニーリゾートには様々な場所に関係者専用の札がかかっているのですが、テーマポートやアトラクション、ショップなどによって表記の仕方が違うことをご存知ですか?
例えばのどかな港町であるケープコッドでは「VILLAGERS ONLY(村人専用)」となっていたり、博物館が舞台のアトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」では「MUSEUM ATTENDANTS ONLY(博物館関係者専用)」となっていたりします。
細かい部分ですが、世界観を大切にするディズニーらしいこだわりだとも言えます。
それでは、マクダックス・デパートメントストアでは一体どのような表記になっているのでしょうか。
「DUCKS ONLY(アヒル専用)」!!
ここからキャストの方たちが出入りしているのを何度も見ているのですが、彼らは一体…?笑
以上、ユーモア溢れる関係者専用の札にまつわるお話でした。
マクダックス・デパートメントストアにまつわるお話と豆知識のご紹介でした。
質屋、問屋での成功を経て夢の百貨店をオープンしたスクルージ。
小さな努力の積み重ねによって、念願のアメリカンドリームを掴んだようですね。
マクダックス・デパートメントストアに訪れた際はぜひ店内の雰囲気や装飾品、小物にも目を向けてみてください。
意外な発見があるかもしれませんよ。
それでは、よい冒険を!