2021年現在、東京ディズニーシーで最も新しいアトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」。
オープンして2年近く経った今でも勢いは衰えず、連日賑わいを見せている大人気アトラクションです。
今回はそんなソアリンの本編でなく、Qライン(待機列)にあるプロップスについてご紹介していきます。
何気なく通り過ぎてしまうような装飾でも、実は深い意味が隠されているのです。
そんな隠された豆知識を知れば、今後のライドがもっともっと楽しめるはず。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
ソアリン:ファンタスティック・フライトは2019年7月23日に東京ディズニーシーに新しくオープンしたシアター式アトラクションです。
東京ディズニーシーの玄関口であるメディテレーニアンハーバーに位置し、青い丸屋根が目印です。
ここファンタスティック・フライト・ミュージアムでは、飛行の研究に没頭しS.E.A.の会員でもあった女性カメリア・ファルコの生誕100周年を記念し特別展を開催中。
正式名称はSociety of Explorers and Adventures。探検家や科学者などが集まる学会であり、かの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチやソアリン:ファンタスティック・フライトに登場するカメリア・ファルコも会員でした。
ゲストたちは特別展に参加し、博物館のテラスから空飛ぶ乗り物「ドリームフライヤー」に乗り込み世界を旅する冒険に出かけるというストーリー。
風や匂いを感じながら世界の名所を旅し、非日常な体験をすることができます。
それでは早速、ソアリンのQラインを見ていきましょう。
ファンタスティック・フライト・ミュージアムに入る際、まず最初に通るこちらのエントランス。
屋根の中を覗き込んでみると、何やら不思議な形をした電球があります。
そう、実はこちらの電球は気球をモチーフにしたものなのです。
覗き込まないとわからないような場所ですが、こんなところにも「空」を感じられるこだわりが隠されていました。
夜は実際に点灯している様子も見ることができますよ。
エントランスの門をくぐると見えてくるのがこちらの石像。
石像の正体はハヤブサです。
ハヤブサといえば、カメリア・ファルコの親友であり相棒だったアレッタを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
色がないためこちらの像がアレッタかどうかは断定できなかったのですが、私の予想ではおそらくアレッタの像だと思います。
アレッタはファルコ家でとても可愛がられており、家族の一員とも言えます。
そんなアレッタが正面でゲストをお出迎えしてくれているようです。
ハヤブサの像から左方向に進むと、壁にタペストリーが飾られたエリアへと続いていきます。
タペストリーは手前から順にドリームフライヤー、カメリア・ファルコ、アレッタが描かれています。
これらのタペストリーはカメリア・ファルコ生誕100周年特別展のために掲げられたものです。
タペストリーの通路を抜けると現れるのが庭園エリア。
混雑時に解放される場所です。
とても綺麗に整備された庭は、眺めているだけでとても穏やかな気持ちになれます。
こちらに植えられている花々は、季節によって変わるんですよ。
ソアリンに訪れた際はぜひ季節によって変化する植物にも目を向けてみてくださいね。
庭園を抜け階段を降りて行くと、中庭が現れます。
ここには空の研究に尽力した実在する偉人たちの壁画が飾られています。
壁画には隠れミッキーも複数隠されていますので、待ち時間にぜひ探してみてください!
バルトロメウ・デ・グスマンは司祭であり、また博物学者でもあったポルトガル人。
後にご紹介するモンゴルフィエ兄弟より前に軽航空機の概念を示し、模型実験に成功したとされています。
アルキタスは古代ギリシアの哲学者。
哲学のみならず数学や天文学にも秀でており、様々な分野で活躍したとされています。
人類で最初の鳥型蒸気ジェットで動く自走式飛行機械を製作しました。
皆さんご存知の天才学者です。
音楽、数学、幾何学、天文学、気象学、物理学etc…数多くの分野で功績を残した天才です。
レオナルドは空を飛ぶことを夢見ており、鳥の飛翔を研究してハングライダーやヘリコプターなどの元となった概念図を作りました。
フォートレス・エクスプロレーションにはレオナルドが作った概念図を元に製作したフライングマシーンが展示されています。
サー・ジョージ・ケイリーはイギリスの考古学者で「航空学の父」とも称される人物。
航空工学の初期の研究を行い、有人のグライダーを製作しました。
兄ミシェル(1740年-1820年)と弟ジャック(1745年-1799年)の二人で熱気球を発明したとされています。
世界で初めて有人飛行を行ったとされるフランスの兄弟です。
フランチェスコ・ラナ・テルツィはイタリアのカトリック司祭であり、発明家。
「空気より軽い航空機」の概念を最初に示したとされています。
ベスニエはフランスの錠前師です。
羽ばたき式飛行具を作り、実際に屋上から飛び降りて無事に着地したと言われています。
中庭を抜けロビーへと進みます。
ロビーには様々な絵や図面が飾られており、ファンタスティック・フライト・ミュージアムの歴史を辿るヒントが数多く隠されています。
まずこちらが博物館のオープニングセレモニーの様子を描いた絵です。
中央でテープカットをしているのは博物館の創設者でありカメリアの父でもあるチェリーノ・ファルコ。
そして右側の黄色いドレスを着た少女は14歳のカメリア・ファルコです。
カメリアの肩にはアレッタの姿も描かれていますね。
絵の隣には、こんなものが飾られています。
こちらはオープニングセレモニーで使われた赤リボンとはさみなのです。
さらにリボンの左上の紙を見ると…
式典が開かれたのは1815年9月4日のようですね。
9月4日といえば、東京ディズニーシーのグランドオープン日。
ディズニーの細やかなこだわりを感じられるポイントです。
上の図面は外観、下の図面は博物館内部を描いたものです。
内部の図面は実際のアトラクションの配置と同じなんですよ。
図面の右下には図面の作成日が記してあり、内部図面は1807年7月7日、外観図面は1810年7月7日に建築家アセミオ・ジデオーネによって作成されたもののようです。
ちなみに、7月7日というのはディズニーアンバサダーホテルの開業日でもあります。
偶然でしょうか?
下の図面には隠れミッキーもありますので、ぜひ探してみてくださいね。
図面の隣にあるのが大きな絵画。
下のプレートにはこのように書かれています。
Un santuario per cuori illimitati 1815
限りない心の聖地 1815年
前述した通り、ファンタスティック・フライト・ミュージアムは1815年9月4日にオープンしました。
こちらの絵画は、オープンした頃の様子を表しているようです。
ロビーの左側の壁には2枚の絵が飾られています。
左は起工式の様子、定礎式の様子です。
どちらも中心となったのは創設者のチェリーノ・ファルコ。
近くに立っている親子はチェリーノの妻ジュリアナと娘のカメリアです。
アレッタも楽しそうにしている様子が描かれていますね。
ちなみに定礎はエントランス近くで今も見ることができます。
CELINO FALCO
MDCCCXV
DEDICATO ALLO
SPIRITO DEL VOLO
チェリーノ・ファルコ
1815年
飛行への想いを捧げる
ぜひ探してみてくださいね。
隣の壁にあるのは世界各国のVIPゲストが博物館を訪れた際の様子を描いた絵です。
全部で5枚の絵が飾ってあります。
一枚ずつ見ていきましょう。
ハワイの王家が博物館に訪れ、ファルコ家に贈り物を贈った際の様子を描いた絵です。
贈り物を受け取っているのはチェリーノです。
奥にはジュリアナとカメリアもいますね。
続いて訪れたのはインドの王とその後継者。
インドの王族らしく、大きな象に乗って来訪したようです。
ファルコ家は3人並んでお出迎えしています。
植物の様子から、季節は秋であることがわかります。
アラブのプリンセスがキャラバンを引き連れてやってきました。
代表で挨拶をしているのはカメリアです。
チェリーノとジュリアナは後ろでその様子を見守っています。
チェリーノは杖をついており、背中が丸くなっています。
ロシアの皇帝とその一行がやってきました。
見ての通り、季節は冬。
雪化粧した博物館や植物も素敵です。
こちらの絵には、チェリーノとジュリアナの姿が描かれていません。
切ないです…。
5枚目は日本からの来訪者です。
カメリアが名誉あるゲストとして日本の首脳を招待した際の様子です。
カメリアとアレッタもお辞儀をしています。
こちらの日本人ゲスト、一体何者なのかと思いこの年代のことを調べてみたのですが、皆さん教科書で見たであろう岩倉使節団にそっくりだと思いませんか?
歴史上で岩倉使節団がイタリアを訪れたのは1873年とされていますので、絵の年代とは1年誤差があります。
あくまでもモデルとして取り込まれたのかもしれませんが、面白い仕掛けですね。
以上5枚の絵を並べて見てみると、周辺の植物や風景の変化が見られて面白いです。
これらの絵で分かるのは54年間の様子。
ファルコ家の変化も細かく描かれているので、とても見応えがあります。
ぜひ本物を見て変化を楽しんでみてください。
ロビーを進んでいくと見えてくるこちらのプロップス。
ここには、博物館の建設に尽力した人々の名前が刻まれています。
もちろん架空の人物なのですが、中には「ヴァイオリン」「ピアノ」といったちょっと変わった名前がありました。
さり気なくユーモアを混ぜているようです。
続いて見えてくるのがレセプション(受付)です。
ここには来訪者名簿とペンが置いてあり、まさに今から博物館を見学するんだというワクワクした気持ちにされてくれます。
そしてレセプションの奥にかけてある時計を見てみると…
指している時間は7時23分。
こちらはソアリンのグランドオープン日の7月23日を表しているのです。
また、左側の壁に掛かっているこちらは売却証明書。
下には「Zeno Zambini」と書いてあり、ポルト・パラディーゾの大地主だったザンビーニ家から土地を購入したことが分かります。
こういった場面でつながりを感じられるのはちょっとワクワクしますね。
ロビーを抜けるとロタンダという小部屋に到着します。
ロタンダは常設展示場です。
ここでは「空を飛びたい」と願ったたくさんの人々の夢の軌跡を見ることができます。
中央のオベリスクにはS.E.A.のモチーフである「冒険」「発見」「発明」「ロマンス」の紋章が刻まれています。
オベリスクの柱に刻まれている文字のようなものは…解読できませんでした(笑)
博物館では要所要所でS.E.A.の紋章を見ることができます。
色んなところに隠されていますので、ぜひ探してみてくださいね。
ロタンダの天井には、8枚の大きな絵画が掲げられています。
ここでは「空を飛びたい」と願った人々の思いが描かれています。
様々な国で飛行にチャレンジする様子が描かれており、とても見応えがあって面白いです。
こちらは日本の忍者のようです。
どれもユニークでクスっと笑ってしまうようなアイデアばかりです。
中には超レアな隠れミッキーも描かれていますので、待ち時間にぜひチェックしてみてください。
ロタンダには様々なコレクションが展示されていますが、大きく4つのジャンルに分けることができます。
ひとつずつ簡単にご紹介していきます。
歴史のエリアでは、人々が空を飛ぶためにチャレンジしてきた様々な軌跡を見ることができます。
気球のようなものに乗っている絵や、「鳥人間コンテスト」的なものを描いたものもありますね。
中でも左側にある大きな凧で消火をしようと試みている絵は、日本を舞台にしたもののようです。
生物学のエリアでは、鳥類の化石や蝶の標本などを見ることができます。
左下の珍しい形をした鳥は、かつてマダガスカル沖のモーリシャス島に生息していた絶滅鳥類です。
大きな隠れミッキーも描かれていますので、ぜひ現地で探してみてください。
考古学のエリアでは、ほうきや絨毯などの「空を飛ぶ」と考えられていたアイテムのコレクションを見ることができます。
上記の写真では見えにくいのですが、左側の絵は日本での様子を描いたものです。
大きな凧に人がぎっちり乗っている様子を見ることができます。
技術のエリアでは、飛行の研究に使われた資料の数々が展示されています。
空を飛ぶために人々が試行錯誤してきた様子を伺い知ることができます。
ご紹介できるのはここまでです。
ここから先は、ぜひご自身の目で確かめてください!
イマジネーション溢れる壮大な空の旅へ、行ってらっしゃい!
ソアリン:ファンタスティック・ファイトのQラインに隠されたプロップスにまつわるお話のご紹介でした。
ソアリンのQラインは細やかな演出がたくさん盛り込まれているので、待ち時間も飽きることがありません。
人々の願った「空を飛びたい」という願いに思いを馳せながらここを訪れれば、より一層世界観に入り込めるかもしれません。
それでは、よい冒険を!