アトラクションやショーだけでなく、レストランやショップ一つひとつに至るまでバックグラウンドストーリーが用意されているところがディズニーの魅力のひとつ。
バックストーリーを知ってから訪れれば、その世界観により一層入り込めます。
今回は中でも東京ディズニーシーのロストリバーデルタにあるショップ「ロストリバーアウトフィッター」に隠されたお話と豆知識をご紹介していきます。
実はこちらのお店、ジャングルという場所からは想像もできないようなロマンチックな物語が隠されているのです。
ロストリバーデルタは東京ディズニーシーの奥地に広がるテーマポートです。
1930年代の中央アメリカのジャングルを舞台にしており、人気アトラクション「インディ・ジョーンズ・アドベンチャー:クリスタルスカルの魔宮」や「レイジングスピリッツ」があるエリアとして有名です。
ロストリバーデルタの中央には「エル・リオ・ペルディード(失われた河)」という川が流れており、川を境にふたつのエリアが広がっています。
川の手前側はにぎやかな市場エリア、川の向こう側は遺跡発掘の様子が伺える遺跡発掘エリアとなっています。
二つのエリアではそれぞれ聞こえる音や雰囲気など全く異なりますので、ぜひロストリバーデルタに訪れた際はそんな違いにも目を向けて楽しんでみてくださいね。
それでは早速本題に入っていきましょう。
先にロストリバーデルタはふたつのエリアに分けることができるとお話しましたが、ロストリバーアウトフィッターがあるのは市場エリアです。
ダッフィーとグリーティングできる施設「”サルードス・アミーゴス!”グリーティングドック」の左側に隣接しています。
カチューシャやポシェットなどの身につけグッズをはじめ、文房具やアパレル用品など多ジャンルの商品を扱っています。
東京ディズニーリゾートでは数少ない、セミオーダーでオリジナルグッズを作れるお店でもあります。
1880年代、巨大台風によって突然姿を現したロストリバーデルタ。
やがてこの場所には一攫千金を夢見る探検家や研究者たちが多く訪れるようになりました。
そこに訪れたある一人のアメリカ人男性。
のちのロストリバーアウトフィッターのオーナーです。
とてもお金持ちだった彼は世界一周旅行に出かけ、最初にロストリバーデルタを訪れました。
そしてこのロストリバーデルタで、ひとりの美しい女性と出会います。
彼女は先住民で、「彼女ほど美しい人はいない」と言われるほどの美貌の持ち主でした。
彼は一目惚れし、やがて二人は恋に落ちました。
ですが男性が世界一周旅行を願う一方で、彼女は生まれ育ったこの地を離れることを強く拒みました。
そこで男性はある決断をします。
彼はロストリバーデルタに二人で暮らすための家を建て、彼女を妻として迎え入れたのです。
そして1917年、二人はジャングルに訪れる探検家たちに向けたお店「ロストリバーアウトフィッター」をオープンします。
建材には輸入品を使い、ヴィクトリア様式を取り入れた豪華な内装にしました。
それから時は流れ、現在のロストリバーデルタの舞台である1930年代。
ジャングルの気候の影響で、外壁や看板は色あせてしまいました。
ですが彼の愛のこもったロストリバーアウトフィッターは、今も多くの探検家たちに愛され続けているようです。
大富豪だった男性が、一人の女性のためにジャングルに腰を据える覚悟を決める…。
中々できることではありません。
ロストリバーアウトフィッターは、そんな温かくロマンチックな出来事を経て誕生した愛溢れるお店だったのです。
ここからは、そんなロストリバーアウトフィッターに隠されたちょっとした豆知識をご紹介していきます。
「ロストリバーアウトフィッター」という名前には一体どのような意味が込められているのか、紐解いていきましょう。
「ロストリバー」はその名の通り、失われた河という意味です。
ロストリバーデルタの中央を流れる河「エル・リオ・ペルディード」を指します。
お店の場所を表しているようですね。
そして「アウトフィッター」というのは、自然との関わりを楽しんだり業にしたりしている人に道具や用品を供給する人のことを指します。
つまり、ロストリバーデルタに訪れた探検家たちに向けて必要な道具や物資を販売しているお店、という意味です。
店内にある看板には、スペイン語で「探検家、鉱夫、狩猟者のためのお店」と書かれています。
英語とスペイン語が混在しているところにも、スペインに支配されていた過去を持つ中央アメリカらしさを感じます。
豪華な内装をしている店内ですが、店内に置かれた商品棚を見てみると統一感がありません。
サイズが違ったり、色が違ったり、色あせたりしています。
実は、汽船や蒸気機関車での旅で使うスチーマートランクの蓋を外したものが商品棚としてリサイクルされているのです。
ですが一方で、壁沿いに備え付けられた商品棚はとても豪華で綺麗な見た目をしています。
お店を建築した際に一緒に作った棚はヴィクトリア様式で豪華ですが、その後に追加した商品棚は現地で調達したため、このように両極端な見た目をしているようです。
レジカウンターも、ヴィクトリア様式の繊細な模様とリサイクル品が混在しています。
物資の少ないジャングルで試行錯誤した様子が伺えますね。
店内の棚の高いところには、様々なものが置かれています。
近くの市場で織られた「サラペ」「レボソ」や、手編みのカゴや帽子などが飾られています。
ですが一方で、このようなものも見受けられます。
繊細な模様が描かれたとても高級そうな蓄音機です。
ジャングルの中で発掘されたようにはとても見えません。
こちらは輸入したのか、男性のお気に入りの品を持ってきたのか、ともかく大切なものなのではないでしょうか?
乱雑に置かれた品々の中でも存在感を発揮しています。
店内には他にもたくさんの品が飾られていますので、ロストリバーアウトフィッターに立ち寄った際はぜひ棚にも目を向けてみてくださいね。
ヴィクトリア様式に倣って作られた内装。
照明ももちろん、こだわりの器具を使っています。
曲線を描くデザインが施されたオシャレな照明です。
オレンジの灯りがゆらゆらと動く姿は何とも穏やかで落ち着きます。
実はこちらの照明にはガス灯が使われています。
1930年代は世界的に電灯が普及していた時代ですが、ジャングルの奥地であるロストリバーデルタは未だにガス灯が使われているようです。
ガス灯ならではの温かみを感じながら、彼らの物語に思いを馳せてみては?
ロストリバーアウトフィッターのストーリーと豆知識のご紹介でした。
奥地のジャングルで情熱的な恋をした二人。
ロストリバーアウトフィッターは、そんな愛の物語によって生まれたお店だったのです。
お店に訪れる際は、ぜひそんな二人の素敵な物語を思い出してみてくださいね。
それでは、よい冒険を!