トイ・ストーリー・マニア!やタワー・オブ・テラーなどの人気アトラクションがあるエリアとして有名なアメリカンウォーターフロント。
20世紀初頭のアメリカを舞台にしており、華やかで明るい雰囲気が印象的なエリアです。
ですが、アメリカンウォーターフロントの魅力はアトラクションだけではありません。
アメリカンウォーターフロントには様々な建物が立ち並んでいますが、実はその全てに物語が隠されています。
看板や装飾から読み解いてみると、当時の時代背景を知るヒントにもなって面白いです。
今回はそんなアメリカンウォーターフロントの中でもおしゃれな旧市街をモデルにしたウォーターストリートの建物にまつわる豆知識をご紹介していきます。
東京ディズニーシーの左側に広がるテーマポート:アメリカンウォーターフロント。
舞台は20世紀初頭、厳密に言うと1912年のアメリカです。
アメリカンウォーターフロントは大きく3つのエリアに分けることができます。
その中でも今回のお話の舞台はニューヨークエリアです。
ニューヨークエリアには主に2つの大きな通りがあり、それぞれブロードウェイとウォーターストリートという名前がついています。
ブロードウェイはミュッジクシアターやリハーサルスタジオ、衣装屋など芸術の街として名高い街路です。
一方でウォーターストリートは庶民の街として親しまれている旧市街です。
きらびやかで華やかなブロードウェイとは一味違う、親しみやすさのある街並みが印象的なウォーターストリート。
一体どのようなお店や施設があるのでしょうか。
それでは、ウォーターストリートにある建物をひとつずつ紐解いていきましょう。
メディテレーニアンハーバー側から向かって最初にあるお店はシャンハイ・スーズ・サルーンというお店です。
こちらはシャンハイ・スーが経営する酒場。
店名や看板には龍の飾りがあることから、どうやら中国系の人物のようです。
窓に書かれている「WET YOUR WHISTLE」という言葉は、古英語で一杯の酒を飲むという意味を持ちます。
そして2階の窓を見てみると、何やら文字が書かれています。
2階にはタトゥーのお店があるようですね。
文字下には錨のマークが描かれています。
港に隣接するウォーターストリートは、船員や海兵が多く行き交っています。
この錨マークには、彼らたちの安全への願いが込められているのかもしれません。
ちなみに壁の下部に何やら穴が空いているのですが、このお店には地下室のようなものがあるようです。
なんだかお仕置き部屋みたいですね…笑
ウォーターストリートの建物内は実際にはお土産ショップ「マクダックス・デパートメントストア」になっているのですが、2件目はそのお店の出入り口にもなっています。
こちらの建物はマクダックス質屋。
マクダックス・デパートメントストアを経営しているスクルージ・マクダックが最初に開いたお店です。
看板下には「A FAIR PRICE WILL BE PAID FOR ANYTHING of VALUE.」と書かれています。
これは、価値のあるものには正しくお支払いしますという意味です。
旧市街であるウォーターストリートでは、貧しい人も多く生活していました。
この文面には、そういった人たちを差別しませんというスクルージのメッセージが込められているのかもしれませんね。
ちなみに、こちらの3階はピンキーという人物が経営するジムがあるようです。
看板にはボクシングを模したシルエットのイラストが描かれています。
続いては、大きな女神の船首像が目を引くこちらの建物。
こちらはセーラーズ・アームズ・ホテルという船乗りのための宿泊施設です。
1泊25セントで宿泊できるこちらのホテルは、世界各国からやってきた船員たちが利用しているのでしょう。
窓には様々な謳い文句が書かれています。
部屋はとても綺麗で、全ての部屋でお湯が出るという、旧市街では中々魅力的な設備が揃っているようです。
2階のベランダには絨毯がかかっています。
お部屋で使っていたものを干しているのでしょう。
しかし、この絨毯は常時かかっているわけではなく、日によって干されていない日もあります。
小さな演出ですが、私たちの見えないところで住人たちが生活を営んでいることを伺える細やかなポイントですね。
続いては青い柱とオレンジのドアが印象的なこちらの建物です。
こちらはライトハウス・ミッションという団体の施設のようです。
ドアや窓に書かれている文字を読んでみましょう。
Seafarers Welcome
ALL Denominations Welcome!
船乗り、全ての宗教の方を歓迎します!
SERVICES EVERY MORNING At 5 Bells
毎朝5回の鐘が勤行の合図です
どうやら宗教関連の施設のようですね。
船乗りへのメッセージが書いてあることからも、この街が港と密接な関係にあることが伺えます。
建物の2階ではオハラというメーカーの万能薬を取り扱っています。
何でも特許取得済みの薬なんだそう。
赤ちゃんのようになめらかと書いてあることから想像するに、皮膚系や美容系の薬なのでしょうか。
ちなみに、O’HARAというのはアイルランドでよく見られる名前です。
20世紀初頭のアメリカは世界各国から移民がやってきたグローバルな時代。
オハラさんも、その流れでやってきた人物だったのかもしれません。
そして3階にはマダム・アンジーのバレエスタジオがあります。
壁にはあなたの生まれ持った才能を引き出しますと書かれています。
庶民の街であるウォーターストリートにも、芸術に関するスタジオがあったのですね。
続いてはこちらの建物です。
アトランティック・ウェアハウスは直訳すると大西洋の倉庫という意味です。
看板の上にIMPORT(輸入)、EXPORT(輸出)と書いてあることから、おそらく物流関係の会社の倉庫のようです。
ちなみにこちらの建物の中はマクダック・スクルージが質屋の次に開いた問屋となっています。
問屋と物流、何かしらの交流がありそうですね。
続いては道の反対側の建物についてご紹介していきます。
こちらもメディテレーニアンハーバー側から順に辿っていきましょう。
こちらはハドソンリバー・ローイング・クラブ。
ボート選手のためのクラブです。
物陰にあるため、知っている方は少ないのではないでしょうか?
看板はボートを漕ぐために使う櫂がモチーフになっています。
ハドソンリバー(ハドソン川)というのは、こちらのローイングクラブのすぐ裏手を流れるこちらの川のことを指します。
ハドソン川ではボート競技が行われているようですね。
続いてはこちらのスチームボート・ミッキーズというお土産ショップです。
オズワルドグッズや身につけグッズを多く取り扱うお店ですが、高架下にありあまり目立たないためか比較的空いていることが多いショップです。
お店のコンセプトは海洋雑貨店。
店内ではボートや舵、ランタンやロープなど海員たちが使うアイテムの数々を見ることができます。
また、お店の裏側に回るとこのような階段があります。
階段の先にあるのは歯医者さんです。
ですが階段の入り口は封鎖されており、中に入ることはできません。
階段下にかけられた看板には後ほど戻りますのでマッシュポテトを食べながらお待ちくださいというメッセージが書かれています。
柔らかいマッシュポテトは歯が痛い時におすすめされる食べ物です。
階段に書かれている英語から、こちらの歯医者について色々と知ることができます。
ドクターの名前はマーティン・ユージーン・ガムズ。
無痛治療を行なっている歯医者だそうです。
気を失っている間に治療できると書いてありますが、麻酔とは違うのでしょうか…。
何だか怪しい歯医者さんですね。
ちなみに、階段の左側には歯医者さんへと続くはしごもかけられています。
廃材で作られたもののようですが、ボロボロです…。
はしご下のドアのようなものには危険なので離れて!と書いてあります。
このような風景は、旧市街であるウォーターストリートでしか見られない光景ですね。
続いてはこちらの建物です。
高架下にあるため、存在感は薄めです。
大きく書かれているWHOLESALERは卸売業者という意味で、世界中から集めた骨董品やボーキサイトという鉱物を扱っています。
さらに、こちらでは廃品のオークションも開催されているようですよ。
一体どんな商品があるのか、気になりますね。
また、建物には倉庫や鍛冶屋も隣接しています。
鍛冶屋はこちらの写真右側の緑色の部分です。
壁の素材が全く異なりますので、後から増設されたのかもしれません。
鍛冶屋の周辺には「WELDING(溶接)」「METAL SMITHING(金属鍛治)」といった文字が書かれています。
さらには、こんな文字も。
IRON WORKS OF ALL KINDSはあらゆる種類の製鉄所という意味です。
こちらで鉄工作業が行われているようですね。
近くにはこのような船の修理に使うであろうドックがあります。
こちらの鍛冶屋では船や海運業にまつわる部品を作っているでしょうか。
お隣にあるのはレストラン櫻。
和食を提供しているレストランです。
ここは日系人のチャーリー田中が魚市場を改装して作ったレストラン。
店内では浮きや樽など、漁業に関係するプロップスを数多く見ることができます。
「櫻」という字が旧字体なのは、アメリカンウォーターフロントの舞台である1912年に「桜」という漢字がまだ登場していなかったため。
時代背景に合わせた細やかなこだわりです。
また、レストラン櫻にはテラス席があります。
テラス席にはたるや木箱がたくさん置いてあるのですが、中にはこのようなものがあります。
日本語で大きく「醤油」と書かれています。
和食に欠かせない調味料である醤油。
レストラン櫻で使われている醤油は、日本から取り寄せしていたのでしょうね。
ちなみに、レストラン櫻の公式スポンサーは醤油メーカーとして名高いキッコーマン株式会社です。
バックストーリーとも見事マッチしていますね。
最後にご紹介するのはリバティ・ランディング・ダイナーというワゴンタイプの軽食レストランです。
元々船部品の修理屋だったこの場所。
店主の奥さんが作る料理が船乗りたちの間で評判となり、手料理レストランを開いたというバックグラウンドストーリーがあります。
お店の看板を見てみると、元々あった「LIBERTY LANDING MARINE ENGINE REPAIRS」の上から「DINER」と貼り付けてあります。
元々の看板とは違う可愛らしいデザインです。
どうやら後付けの看板は奥さん好みのデザインのようですね。
さらに、看板の左側にも何やら小さい看板があります。
THE WIFE SERVES CHOW IN FRONT OF THE SHACK.
BUT I STILL FIX ENGINES ROUND THE BACK!
妻は小屋の前で料理を振舞っています。
ですが私はまだ後ろでエンジンを修理しています!
奥さんのお店が修理屋をやっていた頃より繁盛しており、店主が嫉妬しているようです。
下段の文字が大きくなっていることからも、奥さんに対する対抗心が垣間見れますね。
看板に書いてある通り、お店の裏側では現在も修理業務を担っている様子を見ることができます。
作業台にはたくさんの工具や道具が無造作に置いてあります。
つい先ほどまでここに人がいたような雰囲気ですね。
店主は今もここで船のエンジンの修理をしているようです。
その証拠に、夜になると作業部屋側もちゃんと明かりが灯ります。
訪れた際はぜひレストランだけでなく修理屋にも足を運んでみては?
東京ディズニーシーのウォーターストリートにある建物のご紹介でした。
おしゃれな街並みにばかり興味が惹かれがちですが、全ての建物に細やかなストーリーが隠されているウォーターストリート。
住人たちの生活を垣間見れるポイントもたくさんありますので、訪れた際はぜひそんな細やかな部分にも目を向けてみてください。
お隣のブロードウェイとは一味違った雰囲気を堪能することができるので、見比べながらお散歩してみては?
それでは、よい旅を!