アトラクションやショーなどのエンターテイメントだけでなく、細やかなストーリーや演出でゲストを楽しませてくれる東京ディズニーリゾート。
気づかずにスルーしてしまうような小さなプロップスに目を向けてみると、意外な発見があったり秘密が隠されていたりして楽しいです。
今回はそんな細やかなプロップスの中から、東京ディズニーシーの人気アトラクション「レイジングスピリッツ」内にあるとうもろこしの袋についてご紹介していきます。
正直地味なプロップスではあるのですが、実はテーマポートをも超越する興味深いストーリーが隠されているのです。
東京ディズニーシーの奥地に広がるテーマポート:ロストリバーデルタ。
1930年代の中央アメリカに広がるジャングルを舞台にしており、東京ディズニーリゾートで最も高い森林率を誇るテーマポートです。
そんなロストリバーデルタで人気のアトラクション「レイジングスピリッツ」。
東京ディズニーリゾートで唯一360度回転があるジェットコースターです。
怪奇現象に見舞われる遺跡発掘現場の中をホッパーカーで探検するというストーリーで、Qライン(待ち列)では発掘作業に使ったであろう道具や資材を見ることができます。
レイジングスピリッツの数あるプロップスの中で今回ご紹介するのがこちらです。
Qラインの途中にある木箱の上に無造作に置かれたこちらの袋。
レイジングスピリッツの複数箇所で見ることができます。
大きく書かれた「MAIZ」はスペイン語でとうもろこし、その下に書かれた「HARINA DE MAIZ」はコーンミールという意味です。
中央には大きなとうもろこしのイラストも描かれています。
コーンミールは乾燥させたとうもろこしを粉砕したもので、アメリカでは主食として親しまれています。
日本ではアメリカンドッグやイングリッシュマフィンなどに用いられることが多いです。
ロストリバーデルタは古代文明の残る中央アメリカのジャングル。
ここには遺跡発掘のために多くの作業員が駐在しています。
コーンミールは長期保存ができるため、長期間の滞在を強いられる発掘現場でも重宝したのでしょう。
こちらの袋は他にもロストリバーデルタにあるレストラン「ユカタン・ベースキャンプ・グリル」や「ミゲルズ・エルドラド・キャンティーナ」でも見ることができます。
ロストリバーデルタで採れたとうもろこしを挽いて作られたコーンミールなのでしょうね。
舞台は変わり、賑やかな街並みが広がるテーマポート:アメリカンウォーターフロントへ。
中でもニューヨークの活気ある街並みを再現したニューヨークエリアは、お散歩をしているだけで何だかわくわくしてしまうようなエリアです。
そんなニューヨークエリアで、先ほどのコーンミールとのつながりを発見しました。
注目していただきたいのはこちらの桟橋「ピア32」。
この辺りは主に近くのワゴンで購入したフードを楽しむための場所として使われていますが、実は世界各地の荷物が交差する港でもあります。
ニューヨークから世界へ、そして世界からニューヨークへと様々なものが行き交う、言わばハブのような重要な場所なのです。
そんな桟橋の一角に置かれたこちらの荷車。
ロストリバーデルタにあったものと全く同じデザインの袋があります。
どうやらロストリバーデルタから海を渡ってここニューヨークに運ばれてきたようです。
ちなみに年代設定はアメリカンウォーターフロントが1912年であるのに対し、ロストリバーデルタは1930年代です。
20年程の期間があるにも関わらず、同じデザインで愛され続けているコーンミール。
見事なロングセラー商品です。
アメリカンウォーターフロントでは他にも様々な場所で「MAIZ」のロゴを見ることができます。
港からも程近いレストラン「ドックサイドダイナー」はお手頃価格でサンドイッチやドリアを頂くことができる人気のレストランです。
そんなドックサイドダイナーのレジ台を見てみると…。
無造作に積み上げられた木箱にお馴染みのロゴが記されています。
ドックサイドダイナーはニューヨークの荷物が集まる貨物倉庫を改装して誕生したレストラン。
そのためレジ台も廃材の木箱を組み合わせて作られているのですが、コーンミールの入っていた箱がリサイクルされているようです。
ドックサイドダイナーでは様々な積荷を見ることができるのですが、もしかしたらこの中にMAIZのものもあるのかもしれませんね。
続いてはこちらのピア32とお隣の桟橋ピア33の間に位置しているポップコーンワゴンにご注目。
2022年4月現在、ガーリックシュリンプ味のポップコーンを販売しています。
ワゴンの近くに置かれた大きな箱の側面を見てみると…。
見慣れたロゴが大きく記されています。
ポップコーンもコーンミールもどちらも原料はとうもろこしです。
こちらで販売されているポップコーンは、ロストリバーデルタの美味しいとうもろこしが使われているのかも?
中央アメリカから海を渡りアメリカのニューヨークへ運ばれてきたコーンミール。
ピア32の荷車を見ると、その様子がよく分かります。
もう一度荷車に置かれたコーンミールの袋を見てみましょう。
荷台に「U.S. STEAMSHIP Co.」と書かれていますが、これはニューヨークで大成功を収めたコーネリアス・エンディコット三世が営むU.S.スチームシップカンパニーのことです。
S.S.コロンビア号やドックサイドダイナーなどを所有し、ニューヨークエリアを支える支柱のような存在の会社です。
ニューヨークの港へ運ばれたコーンミールがどこへ運ばれたのか、荷車の下に敷かれたレールを辿っていってみしょう。
レールは港に広がる広場ホレイショー・スクエアを通過し、ドックサイドダイナーへと続いていました。
ドックサイドダイナーが貨物倉庫として健在だった頃は、ここからさらに各地へ手広く出荷されていたのでしょうね。
ロストリバーデルタとアメリカンウォーターフロントのつながりを感じられるプロップスのご紹介でした。
何気なく置かれた袋にここまでのストーリーがあるとは驚きですよね。
ロストリバーデルタとアメリカンウォーターフロントは全く違う雰囲気ですが、意外とつながりの多いテーマポートでもあります。
何気ない風景や小物にも目を向けてみると、意外な発見があるかもしれませんよ。
それでは、よい冒険を!